top of page
  • 白坂 広子

Freshman Entrance Screening (FES)!

 明成高校には毎年400名弱の生徒が入学し、多くの生徒が運動部活動に所属します。そして健康スポーツコースの新入生約120名は特に部活動に力を注いでそれぞれの競技に励んでいますが、怪我が多い現状にあります。私達はスポーツ傷害の対応を日々行っていますが、怪我の評価をするときに「この状態では怪我が起きても仕方がなかった」「起こるべくして起こった怪我」と思うことが頻繁にあります。例えば、ハムストリングスの肉離れをした生徒の筋肉の柔軟性が極端に低かったとき、他には足底筋膜炎やシンスプリントを発症した生徒が重度の扁平足だったときや、前十字靭帯を損傷する生徒の膝関節の形態が内に入り外側に反れているときや大腿部の筋肉量が少ないときなどです。柔軟性、筋肉量、筋力などの不足や不利な骨形態は怪我の要因になりますが、本人たちや指導者はこの傾向を知らないまま練習していることがほとんどです。自分の弱点を知らずに、そしてそれを改善することがないままに練習を重ねていってしまうのです。そして高校生は課外活動として部活動をしているため平日夕方の3時間程度と週末と練習時間が限られていて、筋トレやストレッチなど体作りの時間は少なく、限られた時間は技術練習やチーム練習に当てられ、厳しい練習を繰り返すなかで怪我が発生してしまうのです。

 私達はこの現状をどうにかできないか、と悩んでいました。怪我となりうる要因を本人と顧問に知ってもらい、その要因の改善方法を練習と同時に行わせる、そのような流れができたら生徒たちの怪我が減るのではないか、と考えていました。フィジカルチェックやメディカルチェックの導入し、結果を集計して顧問と生徒本人と共有していく、このようなシステムを長い間検討していましたが、チェック項目、器具、所要時間、実施場所、測定する人材など多くの問題があり、なかなか導入できずにいました。しかし今年度、何とか実施の方向性がみえてきました。近年は多くのプロチームや体育大学のチームが取り入れているアスレティックトレーニングやフィジカル/メディカルチェックですが、高校レベルではアスレティックトレーニングはおろか、フィジカル/メディカルチェックなどは普及していません。だからこそ仙台大学がサポートする明成高校ではいち早くこのシステムを取り入れ、高校生の競技生活を充実させる、そして大学レベルへ繋げていくことができる、そして高大連携の最先端を走るにふさわしい施設と人材があることをもっと知ってほしい、そのような思いで準備をしてきました。

 私達はこのフィジカル/メディカルチェックを『Freshman Entrance Screening (略してFES ”フェス”)』と名づけました。項目は体組成成分測定、下肢アライメントチェック、下肢柔軟性、下肢基礎筋力、全身動的可動性、そして体幹動的安定性です。大きな器具を使わなくてもできる測定を選出しました。また、5項目を3名体制で行うリハーサルをしました。そしてチームマネージャーや怪我をしていて測定を行わない生徒に協力をしてもらい、スムーズに測定が進むようにしました。測定をした生徒たちは自分自身の骨形態や筋柔軟性、そして筋力やその動きを確認し、足りないところや気をつけなくてはいけないこと、そしてサポーターやインソールの必要性などを知ることができました。私達トレーナーは今後の指導の中で重要視しなければいけないことを確認し、顧問と情報を共有し、私達がどのようなアプローチで改善に繋げていくのかをお話しました。

 来年の本格的な導入に向けてまだまだ準備が必要ですが、いいリハーサルとなりました。来年度は仙台大学の学生アスレティックトレーナーに補助にはいってもらう予定をしています。仙台大学という研究機関で教員と学生がチームを組み、高校部活動にやってあげられること、そして高校部活動から求められていることを常に考え、様々な取り組みをこれからも続けていきたいと考えています。

bottom of page