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  • 執筆者の写真浅野 勝成

問題解決には多方面から考える

高校総体が近づくに伴って、競技練習量や練習強度も増えてきています。そんな中でパフォーマンスの調子がなかなか上がらないことがあります。

調子が上がらないと焦りが生じ、その焦りが“もっと練習やトレーニングをやらなきゃ”という気持ちになることが多いように感じます。

“調子が上がってこないから、チームトレーニングとは別に追加でトレーニングを指導してほしい”

こういった要望も、この1~2か月の間でいくつか聞きました。

“熱心だねぇ~、じゃあ追加でトレーニングやりましょう!!”

ケースバイケースではありますが、大抵の場合そうは答えません。

【要望の真意】

そもそも選手は競技パフォーマンスの調子がなかなか上がってこないことに悩んでいます。単純にトレーニングが好きだからやりたいと言ってくるケースは稀です。

要望を受けても、その真意を的確に聞き出さないと判断はできないです。

よ~く聞いてみると、“レース後半になると脚が動かなくなる”や“走タイムがなかなか伸びてこない”、といった理由から追加のトレーニングの要望を頂きました。

彼らの場合、週6日の競技練習と週2日のS&C(ウエイトトレーニングとプライオメトリクス)が基本ルーティンです。充分にトレーニングも競技練習も実施している状況で追加のトレーニングを加えれば、オーバーワークになる可能性は少なくありません。となると、トレーニングの追加は安易に出来ません。

【本当の原因】

1人には連続しない3日間の食事内容を調査しました。調査と言っても、いつ・何を・どの位食べたかという簡易的なもの。調査を通して、1日のカロリー摂取量が低い現状が見えました。練習前後にバナナやブドウ糖タブレットなどの捕食と3食の主食量を増やすことをアドバイスしました。

そのアドバイスが活きたのかどうかは明確にわかりませんが、その後の競技会で自己ベストを出す活躍を見せ、高校総体へ向けて着々と準備が整ってきているようです。

もう1人にも口頭で食事調査を施し、特に問題は感じられませんでした。しかしながら、この選手は睡眠時間の問題がありました。遠方から通学している影響で1日5~6時間ほどしか睡眠が取れていないという状況でした。“もっと寝て!”と言いたい所ですが、具体的なアドバイスにはなりません。ここの問題を解決しなければ。。。

【問題解決には多方面からの観察を】

トレーニングや練習のみでなく、食事や睡眠にも目を向けてあげること。問題点を多方面から見ることがとても重要だな~と思います。

本来ならば、スポーツ栄養の専門スタッフが居て、選手の日頃の食事面をサポートするのが理想的ではあります。しかしながら、栄養士の常駐は難しいという現状がほとんどかと思います。従って、S&CコーチやATが栄養学の知識を磨き、選手に正しい知識を教え伝えることが大切です[1]。

トレーニング指導の専門家とは言っても、指導技術だけを磨いてれば良いという訳ではないことを再認識する機会でした。

【文献】

1. Micheal VH, Jonathan N, Andrew RJ, et al. (2017). Availability of a sports dietitian may lead to improved performance and recovery of NCAA division I baseball athletes. Journal of International Society of Sports Nutrition. 14:29. doi: 10.1186/s12970-017-0187-6

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