• 小野 勇太

驚愕!?

あるスポーツ傷害で相談に来た選手への対応時の話

選手「病院で〇〇と診断されました。今はそこまで痛みもなくて、やろうと思えば部活できそうなんですが、顧問の先生に伝えたら、しっかりとATの評価を受けて必用なトレーニング等行ってくるように!って指導されてきたのですが」

AT「わかりました。では、詳しくそのスポーツ傷害〇〇について、話を聞かせてくれないかな?」

選手「はい!えっと・・(内容省略)・・っと、こんな感じです。」

AT「ふむふむ。ではこれはできるかな?」

選手「・・えつ!?多分できますよ!えっと、ちょっと待ってください・・・ほら、出来ましたよ!」

AT「おっ!!良いね!では、反対も同じように出来るかな?」

選手「反対ですか?!いやぁ、ちょっとそれはどうかな・・・・・」

このチェックは肩の関節弛緩性(関節の緩み)や柔軟性(筋肉の柔らかさ)などを簡単にチェックできるもので、指と指の間が5cm以上空いていれば柔軟性低下と評価します。

自信なさげなその選手、

反対も同様に試してみたところ、全くもって指と指の間は届きませんでした。上の写真と同じくらいに離れていて、左右差があまりにも大きいことを本人が自覚して驚きの表情。評価していて、こちらもその大きな左右差にビックリでした。

どうにかして距離を縮めようと必死にトライするものの、全く距離は縮まず諦めた様子。

選手「こんなに差があったんですね・・・」

AT「これは放っておくわけにはいかないね!では、早速、肩周りの運動を紹介するから一緒にやってみようか!」

選手「はい、わかりました!お願いします!!」

それから、選手と一緒に肩周りの体操を7~8分ほど実施。

体操中にも、その選手の動作のクセを探し、改善ポイントをさりげなくチェック。

私たちATは、不必要な事は行いません。「話を聞く、身体の部位を見る、触る、押す、動かす、動いてもらう」などなど、これらに関しすべてに意味があります。

たくさんの情報収集の中から、スポーツ傷害または問題の原因を探っていきます。

そんなこんなで、動かし方や姿勢の一部修正ポイントがあったので、改善方法を伝えてみます。

ちょっと難しそうだったので、徒手的に動きをサポートして、正しい動かし方を誘導してあげます。

AT「よし!では、もう一度、さっきのチェックをやってみようか!」

選手「わかりました。(・・・・変わらないでしょ、そんなすぐに)」

・・・・

・・・・・・・・

・・・・んっ?・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「えぇ~~!?」

ってな具合にびっくり顔の選手!笑

先ほどとは見違える程に距離が縮まり、その距離約5cm!!

補助してみたところ、指先タッチできました。

この結果から、先程までの表情や声とは打って変わり、

選手「どうなってるんですか?これ??すごいですね!」

AT「よかった!でも、こんなふうにすぐに変化するものって、すぐに元に戻ることが多いから、今回行った体操や動かし方をセルフケアとして、これからも続けていく必要があるんだ。特別な道具は使ってないから、いつでもどこでもできるんだけど、こういうセルフケアって、面倒に感じたりしちゃうよね。・・・・さて、君はこれからどうする?」

すると、間髪入れずに

選手「もちろんやりますよ!!!!」

AT「よかった!そうしてもらえると嬉しいです!」

アスレティックトレーナーにとって最も重要なことは、

「予防教育」だと思います。

教育のためには、伝える側の一方的な情報発信や指示だけでは、実りある結果には繋がりません。

やはり、教育の受け手側が、いかに自発的に、良い行動を継続的に実践できるかが、重要だと考えています。

今回のケースでは、よい行いのきっかけには繋がったのではないかと思います。

きっかけとするには、選手の心を掴むような何らかの「結果」が重要だとも思います。

この1回きりで安心することなく、こちら側も継続的に選手への行動意欲を引き出すような働きかけを、あの手この手で取り組みながら、共に成長していきたいと思います。

ちなみに、今回のような嬉しい経験ができるのは、専門家として身体の勉強を積んできたご褒美だと考えています。勉強すればするほどご褒美が頂ける。こんなに嬉しいことはありません!

引き続き、「高校スポーツの安全を守る」を念頭に、選手のために自分が出来ることは何かを考え、そして行動し続けていきます。

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