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執筆者の写真浅野 勝成

実験形式の授業でブラックボックスを考えてみる

ブラックボックスを考える


〇〇トレーニングを行うとフィジカルコンタクトが強くなる!

〇〇というサプリメントを摂ると筋肉量が増える!



このような情報を聞くことで、取り入れたくなることはあると思います。

しかし、「〇〇トレーニングを行うことで、なぜフィジカルコンタクトが強くなるのか?」や「〇〇というサプリメントを摂取して筋肉量が増える原理は何なのか?」などのような思考が無いと、期待する効果を得ることは難しいと思います。


Aをした結果としてBになる、その要因を理解することがトレーニングを行う上でとても重要になるかと思います(トレーニングに限らずですが)。




このブラックボックスに入る「?」は様々な要因が考えられます。ここを考えられるかどうか、理解できるかどうかでトレーニングの効果は変わってくると感じます。


どんなトレーニングをしても、ここのブラックボックスが何なのかを考える・理解するという癖(というか思考)は身に付けておいて損はないと思います。



実験的要素を加えた授業の取り組み

先月、高校2年生に対して、ここのブラックボックスを考えるという探求的要素を加えた授業を展開してみました。


内容としては、異なるストレッチの種類の実施が直後のジャンプパフォーマンスにどのような影響を与えるか?というもの。


33名を無作為に以下の3群に分類しました:動的ストレッチ群(DS)、静的ストレッチ群(SS)、そしてコントロール群(CON)。

まず初めに、垂直跳び測定を行いました(介入前測定)。測定はJust Jump Systemを用いて3回の試技から一番良い値を測定値として採用しました。Just Jump Systemで出るデータは補正式を使って補正をかけ、インチで表示されるためcmに変換して数値を出しました。今回は腕振りアリで行いました。


その後、各群で異なる介入を行いました。DS群は10分間の動的ストレッチ、SS群は10分間の静的ストレッチ、そしてCON群は10分間の安静を取らせました。


10分間の介入が終わった後、再度垂直跳びを測定しました(介入後測定)。


介入前と介入後の平均値と中央値、そして前後にかけての変化量と変化率を算出しました。


その数値を見て、「なぜそのような変化が起こったか?」を考えて考察を書く課題を設けました。



生徒達の考察

結果として、各群の介入前後の平均の変化率は、DS群が+5%、SS群が-2.8%、そしてCON群が-2.1%という結果でした。


上記の変化率や平均値や中央値を基に、生徒達からは様々な考察が書かれていました。


“DS群が伸びた要因としては、動的ストレッチを行うことで体温が上がったことが要因の一つかもしれません。”


”SS群が下がってしまったのは、静的ストレッチは筋肉をリラックスさせてしまう効果があるかもしれない。そのため、ウォームアップでは使わない方が良いかもしれないと思いました。”


何もしていないCON群の落ち幅がSS群よりも少なかった理由として、昼食後で眠たくなっていたところ、10分間の安静時にお喋りをしていたことで脳が活性化されたことが要因かもしれない。



個人的に3つ目の考察はなかなか面白いと思いました。科学的にどうなのかは私もわかりませんが・・・


これら結果を基に、ウォームアップでは動的ストレッチを行った方が良い理由を考えるきっかけにもなりましたし、結果をどのように解釈するかという考え方の訓練にもなったかもしれません。


何よりも、「なぜそうなるか?」という点を考えること、その思考を訓練するということが出来たのではないかなと思います。



おわりに

探求型授業というか実験形式の授業はなかなか面白いものですね。様々な考察に触れることが出来たのが特に面白かったです。もちろん、こういった授業は生徒達が持っている知識があってこそ。知識を学習する授業と探求型の授業が上手くマッチしていけば良いなーと思います。


今後も授業をする機会があれば、こういったスタイルの授業もいくつか持っておいた方が良いかなーと思いました。




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