「アスレティックトレーナーという仕事④」                    ~ATとしての専門性~

November 25, 2016

「アスレティックトレーナーという仕事」第4話目

 

 川平ATRでは、先日の活動報告にあげたように、S&Cコーチとの連携をすることで更なる高校スポーツサポート体制を強化することとなりました!

 そこで、S&Cって何?という方にもわかるように、「S&Cコーチ」

 

についても紹介しつつ、我々ATとしての専門性を伝えていきたいと思います。 

 

 はじめに、今回我々と協力体制となることになったS&CコーチはNSCA(National Strength And Conditioning Associatioin)が認定するCSCS(Certified Strength & Conditioning Specialist:認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)資格を保有した専門家です。

 CSCSは、「傷害予防」と「身体能力向上」を目的とした、安全で効果的なトレーニングプログラムを計画・実行する知識と技能を有する人材を認定する資格です。

 

 ストレングスとコンディショニングの考え方は、

 

・ストレングス(Strength)とは、筋力、パワー、筋持久力のみならずスピード、バランス、コーディネーション等の筋機能が関わるすべての体力要素に不可欠な能力です。単に力発揮の大きさを表すだけでなく、状況に応じて適切に筋活動をコントロールするための「神経-筋系全体の能力」と定義される。

 

・コンディショニング(Conditioning)とは、スポーツパフォーマンスを最大限に高めるために、筋力やパワーを向上させつつ、柔軟性、全身持久力など競技パフォーマンスに関連するすべての要素をトレーニングし、身体的な準備を整えることです。また、一般の人々にとっては、快適な日常生活を送るために、筋力や柔軟性、全身持久力をはじめとする種々の体力要素を総合的に調整すること。

                              (↑NSCAジャパンHP参照)

 これらの考え方は、我々ATとは基本的に相違ありません。

 特に、「傷害予防」については我々ATの大きな活動目的でもあります。

 では、ATとS&Cって何がどう違うのか?

 

 簡単に例えると、

 

 ”AT”は身体のリカバリー部門の専門家。

 ”S&C“は身体の強化部門の専門家。

 

 と言えるのではないかと思います。

 

 ATは身体の疲労回復(ストレッチング、アイシング、睡眠や栄養指導)や痛みからの回復(応急処置、アスレティックリハビリテーション)に長けた能力が求められます。特に、スポーツ選手の命を守ることは最重要事項であり、スポーツ活動中に生じた傷害に対して真っ先に対応することはATの重要任務です。生命に危険を及ぼす状態であれば即座に心肺蘇生法(CPR)と自動体外式除細動機(AED)を使用し、救急隊が到着するまでの一次救命処置を実施します。米国の場合、日本ほど救急車が容易に要請できないため、アメリカンフットボール等の激しいコンタクトが求められるスポーツでは、生命に危険を及ぼす傷害が発生しやすく、各スポーツ現場でのファーストレスポンダー(1番先に対応すること)が、その選手の命を左右しかねません。そういった背景から、米国ではATの必要性が増し、現在のATCの社会的地位向上に至ります。日本では、救急車は要請が容易に可能とはいえ、ファーストレスポンダーとしての処置は当然スポーツ現場において重要です。日本におけるATであっても、重要事項であり、欠くことのできない能力です。

 また、骨折や靭帯断裂など時には手術が必要な傷害も起こりえます。そういった傷害後の応急処置、医療機関での適切な処置後には、スポーツ復帰までの安全なアスレティックリハビリテーションの立案と実践に関しても必要な能力です。

 その他、ATにもコンディショニングの概念は存在し、以前のブログでも述べましたが、コンディショニングを整えるために様々な指導が可能です。

          ※「アスレティックトレーナーという仕事①~ATを目指したきっかけ~参照

 

 それに対しS&Cは、パフォーマンス向上(走るスピード、ジャンプ力、全身筋力などの向上)に長けた指導が求められます。そのためには自体重以上の負荷をかける必要も生じ、バーベルやダンベルなど、より高重量を挙上させる運動プログラム処方が重要となります。川平ATRで対象となる選手はまだ発育発達途上の高校生のため、高重量を扱う運動処方となればより専門性に長けた専門家が必要でしたが、そういった点においてはATはそれほどの専門性が豊富とは言い難く、今回、川平ATRでS&Cコーチと連携していくということは、更なるサポート体制強化と言えます。

 

 当然ATであってもパフォーマンス向上に関係するトレーニング指導が全くできないわけではないですし、S&Cであっても場合によっては応急処置の実践が必要なこともあります。どちらが優れているとかではなく、専門分野を細分化していくことでより専門性と質を高めることが可能になるのです。そうすることで、対象である高校生達がより安全にスポーツ活動を実践できて、競技成績を上げることができれば我々としては最高の成果と言えます。

 

 仙台大学では、これまで大学生アスリート達に対し、傷害予防とパフォーマンス向上に向けて、ATとS&Cコーチが協力してより専門的なサポートを実践してきています。

 それに対し、川平ATRでは高校生を対象に、AT部門のみ実践してきましたが、今後(平成29年度より)はATとS&Cが協力体制となるため、これまで以上のサポート体制となるはずです。

 

 

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