「アスレティックトレーナーという仕事⑤」         ~ATとしてのやりがい~ 高校総体を終えて

June 10, 2017

 

「アスレティックトレーナーという仕事」第5話目。久々の更新です。

 

高校総体が終了し、明成高校では各部活動毎に日頃の練習の成果を十二分に発揮し、それぞれが素晴らしい結果を残しています。勝利に歓喜した選手たち、敗北に泣いた選手たち、様々な選手たちがいる中で、今大会で私が一番印象に残っている選手がいます。

 

それは、膝の大きなケガで、手術が必要となり、競技復帰に1年以上かかった選手です。その選手は、去年の同じ高校総体では応援しかできない状況でした。高校部活動は実質3年もなく、1年間というリハビリ期間は、そんな高校生にとって非常に長い期間です。手術の担当医師から復帰まで約1年と言われた時の選手の気持ちを考えると、想像を絶する想いです。好きな競技をそれほどの期間行えないと宣告された辛さを考えると今でも胸が熱くなります。私はその選手とともにリハビリを1年間進めてきたのですが、1年ともなると、辛い時期もありました。手術後、全く自由の効かない身体に困惑している一方で、近くで元気に競技に夢中になっている仲間たちの姿を、黙って見つめる背中が今でもよく覚えています。しばらく見つめた後に、少し間をおいてから、「さあ、今日もリハビリ頑張ります!」っと私に近づくその選手の前向きな姿勢と、そこに隠れた辛さや、悔しさなどの想いにふれた時は、かける言葉に詰まってしまうことさえありました。もともとレギュラーメンバーに入れていない選手であったため、1年も競技練習が行えないことに焦りと不安を抱き、リハビリ中もポロっと愚痴をこぼすこともありました。逆に、嬉しいこともあります。リハビリが進むにつれて、日常生活も不自由なく過ごせるようになってきたと嬉しそうに話してくれたときは、こちらも本当に嬉しくなりました。しかし、その選手にとって、日常生活レベルに戻るだけで満足するわけがなく、大好きな競技に復帰することがなによりの目標です。この競技復帰にむけたリハビリをアスレティックリハビリテーション(アスリハ)と言いますが、まさに我々ATの真骨頂である専門分野、ATの力が試されるポイントです。このアスリハを長期間(1年)の間進め、ようやく復帰することができ、復帰後初の公式戦が高校総体でした。

 

この大会に向けて、必死でアスリハを実施し、復帰後は誰よりも真剣に練習に取り組み、練習以外のトレーニングやケアも欠かさず取り組んできました。県予選大会では、フル出場ではありませんでしたが、出場することができ、一生懸命プレーをする姿は私の目にはとても眩しく映っていました。県予選で勝ち進むことができ、続いて県大会。3年生のその選手にとって最後の高校総体にかける想いと、去年レギュラー争いすらできずに応援しかできなかった悔しい経験から、なんとしても試合に出たいという想いは誰よりも強くあったと思います。県大会の直前、手術した膝の調子が良くなく、練習に支障が出る程の状態でしたが、どうにか頑張りたいとの本人の意志もあり、私も可能な限りのサポートをして、練習には参加し続けて大会に臨みました。

結果としては、県大会ではメンバー入りはしたものの出場機会がなくチームも望む結果とはいかず悔しい想いをしました。

ですが、他の競技は勝ち進んでおり、自分達が負けた分、その競技を応援しようと、選手達同士で声をかけあい、応援練習を一生懸命に行って、試合当日の応援も必死に行いました。私はその競技の試合も見ていたのですが、大人数いる応援の声の中から、誰よりも大きな声で、離れた人にもはっきりわかるように応援していたのが、膝の手術をしたその選手でした。

何をするにも必死で、とことん前向きな姿勢で取り組むその選手の姿は、他の誰よりも印象深く残っています。高校総体後、短いオフ日を終え、早速「まだ最後の大会が残っているので、次こそは試合に出たいので、またトレーニング指導宜しくお願いします!」とATRへ誰よりも早くに来たのがやはりその選手でした。そんな選手を支えていると思うと、こちらの身が引き締まる想いでいっぱいです。

 

高校総体、それはあらゆる競技に取り組む高校生達にとって、非常に大事な大会であり、その背景には、大会に向けて努力してきた選手、監督・コーチ、保護者、トレーナー、その他スタッフ等、様々な人関わりがあります。

そして、各競技毎に、様々なドラマがあり、試合の結果だけが全てではないと私は感じます。選手の成長、チームの成長、それらを支える人たちの成長、関わる人たち全てがその競技を通して人間的にも成長していくその過程には、簡単に説明のできない感動するシーンがたくさんあります。

 

高校生は、身体的にも精神的にも未熟な状態です。ATとしての予防活動やアスリハ指導を通して、そんな高校生たちの成長を近くで見れることは、私にとって非常に面白い点です。

 

当然、関わる選手・チームの勝利こそ嬉しいものはありませんが、スポーツでは必ず勝者と敗者がおり、常に勝者側でいられるわけではありません。

勝者にせよ敗者にせよ、サポートする選手、チームの成長を近くで感じられ、そんな姿に私は強く感動することができた高校総体でした。

 

ひとりでも多くの選手が、悔いのない高校スポーツ活動生活を送れるよう、仙台大学川平アスレティックトレーニングルームでは、これからも引き続き「高校スポーツの安全を守る」活動を続けていきます。

 

 

 

 

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