“時間”の価値

July 1, 2019

全ての人にとって、時間は限りがあります。

 

この「時間」について真剣に考える必要があるなぁと、最近になって思い始めました。

 

私が普段関わる高校生達にとって、高校生でいられる3年間のうち、スポーツに割ける時間はどれくらいあるのか。

 

バスケ、サッカー、陸上、バレー、ソフト、テニス、体操などなど、高校運動部活動はこれ以上にもその他たくさんある中で、どの競技においても共通していること。

 

高校生活3年間、日数で考えると1095(365×3)日、時間でいうと26280(1095×24)時間という長さは皆に平等です。

 

ですが、競技特性によっては、特定の場所でしか練習ができない場合、利用可能時間の制限があって、無限に練習できる環境でないことは多々生じます。

 

時間を、スポーツ活動に費やせる時間として考えると、スポーツ活動以外の時間として挙げられるのは大きく5つ、①睡眠、②食事、③移動(通学や活動場所まで)、④学習(学生にとっては授業)、⑤余暇(プライベート、遊びなど)があります。

 

これらの5つの時間を1日24時間から差し引いた時間が、自分のスポーツに費やせる時間です。

 

高校ATとして、身体のベストなコンディショニングについて選手たちに伝える際には「運動」「栄養」「休養」のこの3つが十分にバランスが取れてはじめてコンディショニング良好な状態が維持され、目的としたスポーツ活動におけるパフォーマンス向上に繋がると高校生達に話しています。

 

「強くなりたい」「上手くなりたい」「勝ちたい」「健康になりたい」「仲間との時間を楽しみたい」など、いろんな想いがそれぞれのスポーツ活動に参加する動機づけとなっているかと思います。

 

それぞれの想いを達成するためには、自分の時間をコントロールする必要がありますが、非常に難しいものです。

というのも、時間は自分の自己決定のみで配分しきれない側面があるからです。

 

やらなければいけないことに割く時間が一定数あります。

 

例えば高校スポーツ選手においてのそれは、

 

①休養、②栄養、③学業が欠かせません。

 

やる気があるとはいえ、睡眠や休憩もなしに24時間動きっぱなしでいたら、24時間後はどうなるでしょうか?

僕だったら、体も心もおかしくなっていそうです。

 

世の中には、24時間は大丈夫ですという人がいたとして、ではその人が2日、3日と休養なしにずっと運動していたらどうでしょう。さすがにおかしくなっていそうです。7~8時間は睡眠時間を確保したいところです。

 

これは極端な例ではありましたが、自分がどれくらい動き続ける体力があるかには個人差があるので、部活動として活動している集団として考えると、同じ2~3時間運動しても、まだまだ動き続けれる人と、2時間ももたない人もいる中で、一緒に行動するのが学校スポーツにおける集団行動です。

与えられた時間は平等ですが、その時間がもたらす価値は、個人個人によって異なるという考えを選手やコーチ、トレーナー含め一人一人考える必要があるように思います。

ここで、体力がない選手が体力を付けようともっと運動をしようとする傾向が多々あります。これでは体力はつきません。自分に合った刺激で、自分にあったペースで運動をしてはじめて成長することができるのです。トレーニングの原則の一つで、このことを個別性の原則と言います。

 

また、運動と休養はしっかりできているとしても、身体を構成する栄養素が取れていなければ、身体はただただ消耗する一方で、成長することはありません。

筋肉は、トレーニングをするから強くなるのではなく、日常生活以上の負荷(ストレス)をかけてダメージを与え、そこからのリカバリー(回復)によって、以前の負荷に負けない筋肉へ成長するのです。

そのために必要なことは、運動と休養のみでなく、そもそもの材料(栄養)がなければ筋肉をつくりあげることはできないのです。栄養はスポーツ活動において欠かすことのできない要素の一つです。

 

学業については、これまでのスポーツ現場でよく聞くのは「お前は勉強ができないのだからスポーツを頑張るしかないんだ」的な理論が少数ですが存在します。

 

しかし、この点については警鐘を鳴らさねばなりません。

 

というのも、スポーツに特化していくことを完全否定はしませんが、先日発表された明成高校卒でゴンザガ大に進学し、その後見事NBAのドラフト1巡目指名を受け年棒額なども含めビッグニュースとなった八村塁選手のような、成功例だけがスポーツの未来ではないということです。(塁選手がスポーツしかできないという文章ではありませんので、誤解の無いように・・)

 

スポーツに特化した先、スポーツで生きていく(仕事にする)ことができるスポーツ選手がどれほどいるのかということです。

しかも、表現が良くないかもしれませんが、食っていけるスポーツとそうでないスポーツというものが実際には存在しています。

誰もが、塁選手のようになるわけではありません。プロだけど食っていけないスポーツもあるということを知ることは非常に大事です。

 

大多数がスポーツ選手としてではなく、それ以外の何かを仕事として食っていく(生活していく)と考えると、学業を疎かにした先に待っている将来は、完全にアウトとは思いませんが、選択肢を狭めることに繋がるのです。

高校卒業後に大学でもスポーツを続けたいという選手たちによくある話で、スポーツは自信があるが、学業評価(成績)が推薦入学するための評定に足りず、行きたい大学ではなく、行ける大学選びをすることは多々あります。

これはある意味仕方のない事かもしれないのですが、卒業間近の選手と話していると、勉強をもっとしておけば良かったという後悔話を聞くことが多々あります。

 

学業がもたらすのは、これまでにない新たな自分へ成長することと、それを学ぶことで自分がそこからどうすべきかという視野が広くなること、自分が進める道を増やすことと私は思います。

 

こうして色々と時間について思考を深めていくと、「あれもしなければ、これもしなければ」や、「これがしたい、でもこっちもしたい」というように、“やらなければいけないこと“ と、“自分がしたいこと” が頭の中で複雑になっていることに気づきます。

 

これらの物事を一端整理して、“①やらなければいけないこと" と “②自分がしたいこと" に割ける時間を把握することが重要にも思えます。

 

①と②について

高校3年間という期間で考えることや、1年・2年・3年の各1年単位で考えること、数ヶ月単位、数週間単位、数日単位、一日単位、特定の数時間単位・・・と、大きいものから小さいものまであらゆる視点で考えると、時間の価値に気づけるように思えるのです。

 

こういった考え方は、トレーニングやアスレティックリハビリテーションにおける期分け(ピリオダイゼーション)という考え方にも共通しますが、そうして考えることで、今何をすべきかが自分で構築していくことができます。

 

中・長期的な視点と、短期的な視点を、長⇒中⇒短の流れや、短⇒中⇒長の流れというようにどちらからも思考していくことが、ある目的を達成する上で重要なのだと思います。

 

高校生へ普段関わる上で、このような視点で話をしていますが、自分で話していてこれは高校生だけの話ではなく、私達社会人においてもとても重要なことだとハッとさせられます。

果たして自分がそうできているのかということに。

ハッとしているということは、つまりそういうことです。笑

人に伝える以上は、自身がやらなければ相手に伝わりませんので、私の最大の課題です。

 

「人生において無駄なことはない」という言葉自体には賛同できるのですが、何でもかんでも無限にできる時間は存在しないことを考えると、何事にも “優先順位“ のようなものが重要で、更に言うと、その優先順位が本当に「今と未来に繋がると "自分“ が思えるか」がポイントのようにも感じます。

そう思えなければ、「やらされている感」満載の行動となりがちですし、そのような行動の先には、不平不満のような感情が沸いてもおかしくありません。そのような心境で、良いパフォーマンス(結果)に繋がるとは、到底思えないのです。

 

自分が納得して、心から実践しようと思えることは、スポーツでも、トレーニングでも、リハビリでも、強いては仕事でもとても大事なことだと思います。

医療界では当然のように行われているインフォームド・コンセントがこれにあたります。

 

そして、自分が納得しその優先順位の高いものから行動へ繋げるわけですが、限りある時間を有効に活用するためにも、より効率的で効果的なものを追求することは極めて重要ではないでしょうか。

 

例えばだらだらと長い練習を1日かけて行うのではなく、時間を決めて、今日の目的や今後の目標を明確にすることは、練習を効率かつ効果的にするためにも、スポーツをより楽しむためにも必要不可欠なことと思います。

 

ケガをした時にいち早く専門家(医師、AT)に相談すること、競技力向上のためのトレーニングについて疑問に思った時にいち早く専門家(監督やS&Cコーチなど)に相談することは、自分の時間を有効にかつ効果的な自分の未来へと繋げる可能性を広げます。

 

専門家に聞くことは、圧倒的な時短になります。

何でもかんでも聞いてばかりでは、その人の成長には繋がりませんが、最低限の助言やきっかけを相手に与えることは必要です。

 

身体や医療に関する研究は日進月歩のため、私たちも常に情報をアップデートし続けなければならない領域ですが、専門家以外の人たちにとって、ゼロから調べて自分の活動に繋げるには圧倒的に時間の無駄遣いと思えるので、その時短に貢献できると思います。ここで気をつけなければいけないのは、全て人任せにすれば大丈夫と思わせないように工夫する伝え方です。

必要な情報は与えつつ、選手自身の自主性を促すことができて、真の助言と私は思います。

 

このように思うと、我々専門家としての価値を再認識しますし、この価値をしっかりと対象者へと伝えていくことが何より大事です。まだまだ伝わっていないので私たちの努力が必要です。

 

社会にはたくさんの仕事がありますが、私はアスレティックトレーナー(AT)という専門職への誇りをもって活動に励んでいます。

 

「高校スポーツの安全を守る」をスローガンに掲げている我々川平ATRは、自分自身の専門家としての価値を再認識し、かつこの価値を届けたい相手にしっかりと届けられるように、これからの自分の “時間”  について改めて再認識していこうと決意しました。

 

最後に、

 

自分の時間を大切にしない人は、他者の時間を大切にしない

 

こんな人ではなく、他者の時間を大切にできるような人に、そんな専門家になるようこれからも精進していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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