- 白坂 広子
秋冬の大会に向けて
秋,冬の大会に向けて、それぞれの部活動が本腰を入れています。
秋の大会は全国高校駅伝県大会、ウィンターカップ予選、全国サッカー選手権県大会など、これらは3年生最後の大会でもあります。そして新人戦は1、2年生にとっての大一番になります。
3年生はこの最後の大会に悔いを残すことなく、戦いきって欲しい!と毎年願っていますが、今年は特に特に願っている生徒が数名います。
第5中足骨骨折の術後の生徒、前十字靭帯断裂の生徒、脛骨の痛みがなかなか引かない生徒、有痛性外脛骨の痛みが強い生徒など、普通であれば大会欠場を考えなければならない大きな怪我を抱えているのですが、これらの生徒たちは最後の大会出場を信じて努力している生徒たちです。
こういうとき、アスレティックトレーナーは難しい立場に立たされます。
高校最後の大会に出場できる小さな望みがあるのであれば、その望みを最大限に大きくする立場にあります。しかしその過程でうまくいかないこと、症状の悪化などがあれば、状況判断をし、出場を断念するように促していく立場にもならなければなりません。そしてなぜ症状が悪化したのか、仕方のなかったことなのか、リハビリが悪かったのか、きちんと分析をして生徒や顧問に説明をしなければなりません。こんなとき私は、生徒の競技人生を背負う覚悟がなければできない仕事だな、と改めて自分の仕事に向き合うことになります。
そんななか、前十字靭帯が断裂している生徒が試合出場を果たし、チームを勝利に導く活躍をしました!大会へ出場するために手術はしない、と決意してからから3ヵ月半、慎重に慎重を重ねて練習と筋トレを両立しました。私自身、とても不安でした。体作り、技術練習、疲労感、テーピング、サポーターなど、あらゆる側面で指導をしましたが、果たしてうまくいくのか、生徒本人よりも自信がなかったかもしれません。しかし、試合出場を決めたときから生徒は活躍する覚悟を決めていたようです。当日の試合では生徒が得点を決めるたびに涙があふれ、彼女の3ヵ月半の努力を誇らしく思いました。リハビリがうまくいってよかった、症状が悪化しなくてよかった、もう断念しなさいという言葉を発さなくてよかった、という安堵とともに、彼女の強さへの驚きがありました。アスレティックトレーナーは生徒・選手の可能性を引き出す仕事でもあるんだな、と感動しました。あきらめなくてよかったね、よく頑張ったね、それしか伝える言葉がみつかりませんでした。
3年生最後の大会はまだ続きます。
3年生全員が大会出場を果たし、活躍しますように、、、。
日々祈る思いで仕事をしています。。。