成功はたくさんの失敗から成り立っている

January 12, 2020

 

「キックの時、身体が安定しないんですが、どうしたらいいですか?」

 

そう質問してきたのは前回紹介した指のケガで現在ATRにてトレーニング中のサッカー選手。

 

このように、ある競技動作について、選手が疑問に思った内容を改善するサポートもアスレティックトレーナー(AT)の役割の一つです。私はこの点がかなり好きな分野です!

 

そんな質問を受けたらはまず、「評価(チェック)」を行います。

 

①選手自身の感覚でどのように感じ、どう変化させたいのか、それは何のために行いたいのかを自分の言葉で表現してもらいます。自分の言葉で相手に伝えることは、単純にどの場面でも必要なことです。なので、私はこの点を意識して良く聴くようにします。ここで、すぐに言葉が出てこない場合には、単純に待つ、または考えうる表現の選択肢を挙げて、どの表現に近いのか確認し、なんとか選手自身の表現を引き出せるように気をつけています。

 

②姿勢、動きなどをAT的視点で見て確認します。

 

③①と②を踏まえ、ある程度の推論を立てて評価にあたります。この推論を立て、必要な評価を選び、その結果予想通りの反応だったときに、ものすごく楽しくなります。予想通りでなかった場合でも、なんでだろう?という知的好奇心を駆り立てられ、ここでもまた、ものすごく楽しくなります。

 

この日は、相談者が少なく、時間をかけて評価可能な環境ではありましたが、いつも時間に余裕があるというわけではありません。まして、相談者である選手側に時間の制約があることも多々あるので、いかに素早く、効率的に、必要な情報を引き出し、的確な対処をするかが、ATとしての専門力を問われるポイントとも言えます。

 

自分の楽しさを優先し過ぎて、相手に迷惑を駆けぬように心がけることも必要です。

 

選手の要望はキック時の身体、つまり姿勢の安定です。考えうる要因を発見するだけにとどまらず、改善方法の提案、そして実践、最終的には良い変化(ここでは身体の安定)が達成されなければ、十分な満足感を得ることはできません。

 

それらすべてを、なるべく短時間・短期間のうちに達成すべく、先に行う評価はとても重要な内容です。

 

ちなみに、この選手に関しては内転筋という脚を閉じる際に使う筋肉が、十分に使えていないことが評価からわかったので、その筋肉を使う訓練を数セット行いました。

 

道具や、場所の制約がない限り、大抵は私は選手と一緒にトレーニングを実施しているので、この時も一緒に訓練していると、

 

「メチャクチャきついです!」

 

こんなことをいう選手を目の前に、私は涼しい顔で同じことを実施します。

(実は私もメチャクチャきついこともありますが、必死にこらえていることが多々あります。笑)

 

そんな私の状態を見て、やる気が上昇する選手が少なくないです。

競技選手の性なのか、単に負けず嫌いなのか。私は、勉強オタクっぽい見た目をしているので、選手からしたら、そんな相手にできることが自分にできないのが悔しいのだと思います。

結果的に、それで意欲的になってくれるのなら頑張らない理由はないので、私も必死です。

 

筋肉への刺激とストレッチングを併用して、イメージとしては、「眠っている筋肉を呼び覚ます」という感じでしょうか。

 

その後、再度キック動作をしてもらいます。

 

「んっ!?」

 

自分の感覚ではっきり認知できないこともあるため、視覚的情報として、動画撮影し、本人に自分の動きを確認してもらいます。

 

「おぉ!!最初と違う!!ちゃんと止まれてますね!」

 

それから何度か動作を反復し

 

「メチャクチャいい感じです!早く復帰したいです!」

 

「数分のトレーニング時間でこんなに変わるものなんですね!!」

 

今回の相談は、短期間にて発生した成功例ですが、全て同じようになるわけではないです。

ただ、きちんと評価して、要因と対処方法が的確であれば、ヒトの身体はいとも簡単に変化するケースもあることは、アスレティックトレーニング指導における最高の面白さなのかもしれません。

 

こんな体験ができるまでは、たくさんの失敗経験により成り立っていて、その私の失敗経験には当然その相手である選手達が存在していたことを、決して忘れてはいけないなと思います。

 

当時の私の指導を受けた選手達、その節は本当に申し訳ありませんでした。もっと、選手の能力を引き出すことができたかもしれなかったのに、自分の勉強不足がゆえに、たくさんの可能性を潰していたかもしれません。

 

選手の可能性を引き出すためにも、まだまだ現状に満足することなく、自分自身の成長こそ選手の成長に直結すると信じて学び続けようと思います。

 

 

 

 

 

 

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