足部アーチ侮るなかれ!
皆さんこんにちは!
運動不足シリーズ・・・ではなく、今回は骨の並びである「アライメント(足部)」についてです!
生きていく上で大抵の人は自らの足で体重を支え、そして足で地面を蹴って歩く、走る、跳ぶといった移動動作を可能としています。
そんな足部は、運動の起点となるため、足部がどれだけ機能を果たしているかが運動を左右するといっても過言ではありません。
体重を支える荷重分散機能として、足部のアーチ、いわゆる土踏まずが形成されているのが正常な足部となります。
足部を内側から見て、綺麗に放物線を描くように骨は並んでいるのが正常な骨の並びですが、この放物線が十分でなく、平らに近い形となっているのが、「扁平足」という状態です。
濡れた足で歩いた際にできる足あとの形が、くぼみの少ない状態
下の写真でいう真ん中と右の足あとでは、土踏まず(アーチ)が十分でないことがわかります。
逆に左の写真以上にくぼみが大きくなっていく「ハイアーチ」という足の人もいるのですが、そこまで発生数は多くはない印象です。(個人的な見解です)
少なくとも、我々が普段指導にあたっている高校生たちの中では圧倒的に「扁平足」が多い傾向にあります。
扁平足であるから全てにおいてマイナスであるとまでは言いませんが、足部のアーチが十分でないことによるデメリットは、スポーツ選手としては結構あります。
足部のアーチの機能の1つとして、体重による荷重の力を分散するショック吸収機能です。
アーチがあるお陰で、歩行、ランニング、ジャンプ時の衝撃吸収をしています。これが十分に機能しないと、足部や下腿部(特にすね)、あるいは膝へのストレスを大きくしてしまい、これらに痛みを誘発してしまうことがあるのです。
また、扁平足の場合によくある症状として、ずっと立っていると足裏が疲れてくるというものがあります。
足部アーチを正常な位置に保つための「筋肉」が重要なんですが、扁平足の場合、足部アーチを支えるはずの筋肉が十分に機能していないため、無理やり体重を支えさせられている状態となり、疲れやすい足となってしまうのです。
こういった方の場合には、足部トレーニングを実施し、筋肉強化していくことが重要です!
いろんなトレーニング方法がありますが、最も基本的な運動としては、「足趾のグーチョキパー運動」です!
単純な運動なので軽視されがちなんですが、しっかりとグー(ギュッと足趾を曲げる運動)、チョキ(親指と残り4本指を交差する)、パー(5本の足趾それぞれが開いた状態)行えば、結構な足趾訓練になります。
特に強調したいのは、パーですね!
小指が全然開かない!ということが非常に多く見受けられます。
手の指程とは言わないまでも、ある程度足趾に関しても自由自在に動かせるように訓練しておく必要がありますので、単純な運動と軽視せずに、実践してみてください!
道具はいりませんし場所もどこでも可能です。
私の場合は、お風呂に入ってのんびりしている時間に、足趾は水中訓練で強化しています!笑
もう一つのアーチの機能としては、歩行やランニング、ジャンプ時における推進力をもたせる「バネ」の機能です。このバネ機能があるお陰で、小さな力で楽に前に進んだり、すばやく跳ぶことが可能になります。
バネ機能が十分でないと、連続ホップするような動きで、軽快に動くことができずに(足部からの反発力を効率よく伝達できないため)、足首や膝、時には腰に負担をかけてしまうことがあります。
扁平足のままにしていると、足部の痛みはもちろんのこと、足部以外の部位(すね、膝、腰など)への慢性的な痛みの要因となり得ます。
足部アーチが十分でない人は、ランニングや連続ジャンプが得意ではないケースも多く、仮にスピードやジャンプ能力が高いケースでも、大抵は腰や膝、すねにトラブルを抱えているケースが少なくありません。
痛い場所は腰や膝、すねであるけれど、根本的な原因箇所は足部アーチだった!ということは、結構ありまして、痛い部位にばかり目を取られて根本へ目を向けなければ、何度でも同じ痛みを発生させかねないのです。
足部アーチ侮るなかれ!
ということですね。
そんな重要な足部アーチなので、私達アスレティックトレーナー(AT)は、選手の傷害評価の際には、ほぼ欠かさずチェックをしています!
細かく評価する方法も色々とあるのですが、まずは内側からアーチの程度、そして後ろから踵の傾きや足趾の見え方、足趾機能(グーチョキパー)などをみて、簡易的な評価を行います。
そこで、扁平足が怪しいとなれば、さらに詳しく評価を進めていきます!
そうした評価の結果、扁平足であった場合には、そのヒトにあった対策を考え、実践、継続していくことで、そのヒトのこれから発生しうる傷害発生予防に努めていくわけです!
私達ATには、➀ケガの応急処置や②ケガからの復帰に向けたアスレティックリハビリテーションはもちろんのこと、
そもそもの③『ケガの予防』に最善を尽くす必要があると、私達は考えております。
スポーツ活動中のケガを完全にゼロにすることは困難ですが、「予想されるケガ」に対しては、対策をしておくことで未然に防ぐ、または発生時の重症化を防ぐなどに繋がります。
インフルエンザの予防接種みたいな感じです!笑
ATが、いつの日かインフルエンザの予防接種くらい市民権を得られるような、専門家になるべく、日々精進していきたいなと思います。
今回紹介した足部アーチに関しては、スポーツ選手に限らず、大多数の人々に関連する健康情報です!
ATは競技者(アスリート)だけに特化した専門家ではなく、広く多くの人々に有益な健康サポートが可能な職業と私は思います。
今後、ATという仕事が本当に市民権を得られる日が来るように、私にできることを着実に一つ一つ実践、継続していこうと思います!