【中学生・高校生アスリート必見その2】太もも裏の肉離れに悩まないために行ってほしいこと~トレーニングを中心に~
シンスプリントと同じように、部活動が再開されて激しい運動を繰り返すと、太もも裏(ハムストリング)の肉離れも発症しやすい怪我の一つです。
今回は、肉離れを予防するトレーニングについて書いていきます。
【もくじ】
1.ハムストリングとは
2.肉離れとは
3.発症原因
4.予防法
5.おまけ
1.ハムストリングとは
ハムストリングとは、大腿後面を形成する筋肉の総称です。大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋からなり、大腿前面を形成している大腿四頭筋と対になる筋群です。主な役割は股関節の伸展と膝関節の屈曲です。また、走っているときに止まる動作、いわゆるブレーキの役割も担っています。
2.肉離れとは
急な激しい運動や過度な疲労が溜まった状態で筋肉が収縮した結果、筋膜や筋線維が損傷することを言います。ダッシュの際に起こるハムストリングの肉離れが多いかと思います。
3.発症原因
発症の原因は、柔軟性など個々人の取り組みによって修正可能な要因と年齢や既往歴などの修正不可能な要因の2つに分かれます。ここでは修正可能な要因に着目します。
① 筋力の不足
② 柔軟性の低下
③ 姿勢(骨盤前傾位)
④ 疲労
詳しく見ていきましょう。
① 筋力の不足
肉離れを予防するのに鍵となる筋肉はハムストリングとお尻(臀筋群)です。
ハムストリング自身が弱ければ怪我をしやすいのはわかりやすいと思います。理由は弱いから。それに尽きます。
お尻の筋力が弱いと、ハムストリングへの負担が増します。
ダッシュ、ランニング、ジャンプなど多くのスポーツで用いられる動作は股関節を伸ばす(伸展)ことが求められます。
股関節を伸ばす際に働く筋肉がお尻とハムストリングです。
で、お尻の筋力が弱いと、ハムストリングに頼ってしまいます。
頼られ続けるハムストリングは疲れてきてしまい、疲労が溜まった状態で大きな負荷が加わり続けて怪我が起きてしまいます。
ハムストリングを鍛えることも大事ですが、実を言うとお尻の筋力を鍛えることも重要となります。
② 柔軟性の低下
柔軟性の低下がハムストリングの肉離れに影響を及ぼします。
ハムストリングの柔軟性の獲得が、ダッシュの足の接地時などのようなダイナミックな運動時の衝撃吸収に貢献することが推察されます。
ただし柔軟性だけでは予防には物足りなく、「柔軟性+筋力」の組み合わせが必要になります。
③ 姿勢(骨盤前傾位)
骨盤が前傾位だと身体が前のめりになります。前方へ倒れるのを防ぐために、ハムストリングが伸ばされつつ力を発揮して頑張ります。結果、ハムストリングへの負担が大きくなってしまいます。
※写真右側が骨盤前傾位
④ 疲労
繰り返しダッシュを行うなど、激しい運動を多量に行えば疲労は溜まります。
また、①のようにお尻の筋肉が弱く、走りで上手く使えないと、ハムストリングへの負担は増します。
疲労に耐えられる上限を超えた負荷が与えられてしまえば、それは肉離れに繋がります。
4.予防法
ルーマニアンデッドリフト(RDL)
目的:ハムストリングの筋力と柔軟性の向上
✔足幅は腰幅、つま先は真っ直ぐ前方を向く
✔肩甲骨を寄せて胸を張り、腰を真っ直ぐに
✔動作中、タオルを脚に押し当てておく
✔体重をかかとに載せ、お尻を後方へ突き出す
✔腰が曲がらない程度まで下げる
✔上がるときは肩から上がる
✔10回3セットが目安です。
※腰痛持ちの人は無理に行わないでください
リバースハイパー
目的:お尻の筋力向上
詳細はこちらから
片脚ヒップブリッジ
目的:お尻の筋力向上
✔低めのソファーや椅子を使う
✔肩甲骨の下あたりをソファーや椅子に置く
✔地面接地の足は、上がる際に膝の若干前になるよう置く
✔お尻を使いたいので、つま先は浮かす
✔浮き足は真っ直ぐ伸ばす
✔お尻に力を入れてから、上げる
✔上げた際に3秒止まる
✔ゆっくり下がる
✔片脚10回3セットが目安
レッグローワリング
目的:ハムストリングの柔軟性の改善
✔片側の脚にタオルをかけ、常に膝を伸ばす
✔タオル側の脚は地面に対して垂直を保つ
✔逆側の脚をゆっくり上げ下げする
✔かかと落としのように真っ直ぐ降ろす
✔腰と床の間の隙間を埋める=背骨を床に押し付ける
✔片脚10回3セットが目安です
※硬くて垂直を保てない人は次を参考にすると良いです
レッグローワリング(壁)
✔上のタオルが難しい場合はこちらを行ってみてください
✔壁にかける脚が地面に対して垂直に設定
✔逆側の脚をゆっくり上げ下げする
✔かかと落としのように真っ直ぐ降ろす
✔腰と床の間の隙間を埋める=背骨を床に押し付ける
✔片脚10回3セットが目安です
デッドバグ
目的:骨盤前傾の矯正
✔仰向けで両膝が股関節の真上に来る位置を取る
✔逆側の手足を同時に伸ばす
✔常に腰と床の隙間を埋める=腰を床に押し付ける
✔10回3セットが目安です。
腰を床に押し付けることで腹筋に力が入り、骨盤の前傾を抑える働きがあります。1mmも隙間を作らない状態で手足を動かすことがポイントとなります。
以上、太もも裏の肉離れ予防についてでした。中学生・高校生で部活動に励む皆さんに参考になれば幸いです!
5.おまけ
手洗い・うがい、三密回避、器具などの消毒は忘れずに行ってください!